高橋玲奈の紡ぎ出す世界には豊かな音が溢れている。
空も大地も植物も描かれている全てのものが生命の頌歌を唄っているようだ。
幼い頃から音楽、絵画に親しんできた高橋には、演奏すること、描くことは生きていることの一部であり日常的行為である。間断なく現れるものは、抽象化し、記号化への気配も感じられるが、静止し、冷えているわけではなく、楽譜の音符が奏でられるように一つ一つに命が宿り弾んでいる。画面の奥にはさらに広く深い世界が示唆されている。
先日この10月に満一歳を迎えられるかわいいお嬢さんにお会いしたが、出産、子育て、つまり今、生きていることと、表現への意欲が高橋の中でさらに強く結びついたような印象を受けた。生を賛美し、世界の安寧と幸福を祈ることはまぎれもなく自分自身のためでもあるが、それが表現者の大事な責務の一つであることにもう一度気付かされた気がした。
本展ディレクター:地場賢太郎
高橋玲奈略歴
京都芸術大学芸術学部美術工芸学科卒業
主な展覧会歴
2005 五人展(京都)
2006 30×30(京都)
2009〜市展等参加(2018藤沢市展秀作賞)
2017〜主体展参加
2017〜ボールペンアート展(銀座)
等
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